- いと
- I
いと(副)(1)程度のはなはだしいさま。 非常に。 大変。
「三寸ばかりなる人~うつくしうてゐたり/竹取」
(2)(下に打ち消しの語を伴う)たいして。 あまり。「~やむごとなき際(キワ)にはあらぬが, すぐれて時めき給ふありけり/源氏(桐壺)」
(3)事態が並々でないさま。 本当に。II「かの張騫(チヨウケン)も~ただ者にはあらざりけるにや/今昔 10」
いと※一※ (名)〔※二※ の転。 近世語〕(1)幼児。「これ怪我さんすな~/浄瑠璃・新版歌祭文」
(2)女児。 娘。「お家さんの傍に立つて居なます~さんを見いな/滑稽本・浮世風呂2」
※二※ (接頭)名詞に付いて, いとけない・幼い, の意を表す。III「~姫君の, 小式部のめのと/紫式部日記」
いと【伊都・怡土】⇒ 伊都国IVいと【意図】(1)何かをしようと考えること。「~した半分もできない」
(2)こうしようと考えていること。 めざしていること。V「敵の~を見抜く」
いと【異図】謀反(ムホン)の心。 異心。VIいと【糸】(1)繊維が長く線状に連続したもの。 綿糸・毛糸など短い繊維を紡績したものと, 生糸・合成繊維など長い繊維からなるものがある。「~をつむぐ」
(2)細く長くて, {(1)}のようになっているもの。「蜘蛛(クモ)の~」
(3)三味線や琴などの弦。 また, 三味線や琴などの弦楽器。「三味線の~」「~の音」
(4)釣り糸。「~を垂れる」
(5)絹。「~織り」
(6)〔女房詞〕納豆(ナツトウ)。~を引・く(1)糸状のものがねばって長くのびる。 食品が腐ったときの形容にもいう。「納豆が~・く」
(2)〔糸であやつる操り人形から出た語〕陰にいて他人をあやつる。「陰で~・く者がいるはずだ」
(3)引き出して糸につむぐ。 糸をつむぐ。
Japanese explanatory dictionaries. 2013.